Saturday, April 29, 2006

動物

「人間たちはお互いを夢中で殺しあう。生存者がいるだけでも驚きだ」ゴダール『アワーミュージック』

20世紀ほど人が人を閉じ込め、人が人を殺した時代はなかった。いつだって思うことだが人を殺すのは馬鹿げているし、できれば自分は誰も殺したくないと思う。イエスはだれでも情欲をいだいて女を見る者は、すでに心の中で姦淫を犯したというのだから、こんなことを考える自分にはエラソーに「人を殺すな」とか「戦争をやめろ」と言う資格など全くないと思う。

しかし、それでも殺してはいけないと思うし、たとえ誰かをを殺した者も裁いた末に殺してはいけないと思う。私は死刑に反対する。これはキレイゴトかもしれない。ただ私が知っているのは、理念がなければ現状を追認するしかないということだけだ。というより、人間の攻撃性は絶対に除去できない。人はいつでも加害者意識よりも被害者意識を持ちたがるので、自分の攻撃性には気づかないのだが。人間だって、動物の一種なのだ。しかし不思議なことに、動物は間違っても、核爆弾を落としたり、一致協力して特定の人種をガス室送りになどしない。動物たちは温暖化すると分かっていて石油を馬鹿みたいに燃やたりもしない。巷にあふれる人間賛歌には反吐が出てしまう。逆に人間はもう少し動物を見習うべきだと思う。

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