Thursday, January 11, 2007

帰る

今日は、ひさしぶりにオーストラリアの連れとチャットをする機会があった。みんな、仕事探しに奮闘中の模様だ。ちなみに、一緒に住むのはアイルランド人、韓国人、日本人。国土面積がせせこましい国の出身者たちが、シドニー郊外の裏庭付き邸宅でせせこましく暮らしている状況が伝わってきて、ほほえましい。誰かと一緒に住むことは、うっとうしいこともあるが、誰かがそばにいれば安心するし、俺は帰るところがあることを素直にうれしく思う。

世界には、いろんなホームがある。飢えた家族が暮らす難民キャンプ、遊牧民の移動式テント、旅人宿、キャラバンカー、やしの木の上、湖上ボート。どこにあっても、帰る場所があることのすばらしさ。

しかし、帰ることのきびしさというのもあるはずだ。自分の良心と向き合うこと。空っぽの部屋に帰るとき、だれも見ていないのに、誰かに怒られている感覚。

けれども、帰る家が地獄という場合はどうなるのだろう?路上に転がる捨てられた存在。虐待を受け、ほっとする場所すらない存在。居場所のない小さい心。それを想って、泣いた。彼らの家はどこにある?帰るという行為を奪われたものたちに、再びどこかへ帰る場所が生まれることを俺は望む。

「世界の涙の量は不変だ。だれか一人が泣き出すたびに、どこかでだれかが泣き止んでいる」

俺は生涯、帰る場所のないストレンジャーとして生きるだろう。しかし、どこかに帰るという感覚も、きっと忘れることはできないはすだ。どこにいたっていい。あしたの家に向かって、トボトボと歩いていこうと思う。ひとつ、ひとつの光景を味わい、ゆっくりと呼吸しながら。

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